業績欄とは


四季報の業績欄には、直近5年分の業績が示されています。企業の経営活動の中で、最も重要なものは何でしょうか。それは利益ですね。 どのくらい儲けたかを会社の持ち主である株主に知らせるのが一番大事なのです。 ですので、業績欄では利益が一目でわかるように示されているのです。

売上高

売上高は簡単に理解できると思います。ある期間内に、会社の商品やサービスをいくら売ったかを表しています。 売上高の大きさで、大まかではありますが、その会社の規模を知ることができます。

ちなみに日本一の自動車会社であるTOYOTAの一年間の売り上げは、約20兆円です。 つまり、全世界中の個人や企業がTOYOTA車を1年間で約20兆円買っているのです!すごいですね!

営業利益

営業利益は売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を引いたもので、会社の本業の収益力を表しています。 本業とは、商品力(商品自体の魅力)と営業力(商品を売るための力)を合わせたものをいいます。 営業利益がすべての利益の源泉です。よって、会社の本業の実力を見るときには営業利益が最も適しているといえるでしょう。

再びTOYOTAを例に営業利益を説明するならば、売上から、車を作るために必要な原材料(鉄?)や部品、 また車をデザイン、製造、販売するために必要な社員の給料などを引いたものが営業利益といって良いでしょう。

経常利益

経常利益は、営業利益に営業外収支(営業外収益と営業外費用)を加減したもので、会社全体としての通常の実力を示すものと考えてください。 営業外収益の代表は預金等の利息であり、営業外費用の代表は借金等にかかる利息支払いです。 会社も個人の皆さんのように、銀行口座に貯金、家のローンのように借金があるのです。 預金や借金は本業の収益力とは関係のない会社の財務状況を表しています。 つまり、経常利益とは本業プラス会社の財務状況を考慮した利益といえるのです。

純利益

純利益は、経常利益から特別損益と法人税を差し引いたものです。特別損益とは、その期間だけに特別に発生した損益のことです。

例えば会社が持っている土地を売ったとき売却代金が入ってきますが、 それは銀行の預金みたいに毎期決まって得られる収入ではありません。 そこで土地を売った時のように、毎回起こらず、その期だけ特別に発生する利益を特別利益と呼んでいます。 特別損失は同じく、例えば会社の工場が火災に会い、工場を新設し直さなければならない時などに発生します。

1株益 (EPS)

これは単純で、大まかに言えば純利益を発行株式数で割った利益のことです。

発行株式数が1億株、当期の純利益が100億円の場合、1株当たりの利益は100億 (純利益) ÷1億 (発行株式数)で100円となります。 1株益のことをEPSといったりもします。

それぞれの利益の関連性

上で説明した1株益を除く三つの利益の大まかな関係をここで説明します。利益の相互関係は、会社の業績内容や財務状況により様々ですが、 一般には以下のようになっています。

営業利益と経常利益の関係
営業利益の方が経常利益よりも大きいのが通常のパターンです。なぜなら多くの会社は、事業を行っていく上で借金をしているのが普通で、 それにかかる利息を支払わなければならないからです。

ただ最近の傾向としては、不況のため企業が儲けたお金を新たな投資に使わず剰余金として溜め込んだり、 借金返済を優先させているため、借金の金利負担は大きくありません。余裕金が多い財務体質が非常に強固な会社では、 余裕資金の運用利息で常に経常利益が営業利益上回っています。

経常利益と純利益の関係
経常利益と純利益の関係は、特別なことが無ければ経常利益のおよそ60 % が純利益となります。

その理由は、特別の事情がなければ特別損益は発生しないと考えられるのと、純利益の項目でも書きましたが、 企業の法人税が40 %であることが挙げられます。四季報の純利益が経常利益の60 %よりも極端に乖離していた場合、 特別損益や、税負担に何か特別な理由があると考えられます。その場合、四季報のコメント欄に何らかの理由が書かれているはずです。

配当

配当とは、会社が企業活動を通して得た利益から、出資者である株主に与える分け前のことです。 企業は一般的に三月に決算と呼ばれるその年度の利益が結局いくらになったか、それを受けて会社の財務状況はどうなったか、 などを整理して株主に報告する義務があります。それに合わせて、株主は利益の分け前である配当金を受け取ることができ、 1年に1、2回配当を行っている会社が多いようです。配当欄では過去数年間の配当実績と、 将来これくらい支払われるだろうという予想が一覧になっており、数字はすべて1株当たりの配当金となっています。 「予」と書かれている部分が配当金額の予想となりますが、これは会社側が発表した予想ではなく、 あくまで四季報の担当記者が予想した数字で、実際には異なる場合も多々あります。 また業績悪化などによって減配、もしくは好業績によって増配となる場合があります。配当利回りとは、株価に対して何%の配当が支払われるかを示した値で、以下の式で計算します

配当利回り(%) = 1株当たりの年間配当金 ÷ 株価 × 100

一般的に配当利回りが3%以上なら高配当といえるでしょう。配当利回りが高ければ、割安と判断できますが、 それだけで判断するのは少々危険です。しっかり会社が本業で利益を出せているかをチェックする必要があります。 純利益がマイナスなのに配当を出している会社は、株価の維持のため、捨て身で配当を出している ケースさえあります。

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